AIが議事録を自動で作る時代になった。ボイスレコーダーはもう「録音するだけの道具」ではない。
Ankerが送り出したSoundcore Workは、コイン大・10gのボディにAI文字起こし・話者識別・要約機能を詰め込んだ。PLAUD Note Proとの思想の違いは何か。「月300分」の無料枠は本当に足りるのか。
対話パート1: 「10gのAIレコーダー」
L-yard 編集室。ハクアが新しいガジェットを手にしている
……見て見て見て。これ。
……小さいですわね。イヤホンの充電ケースかと思いました。
Ankerの新作。Soundcore Work。AIボイスレコーダー。本体10g。磁石で胸元にパチって留めるの。
……10グラム。
500円玉が7gだよ? ほぼそのくらい。で、デュアルマイクで5m先の声まで拾って、GPT-5.2で文字起こしして、話者を自動識別して、議事録テンプレートで要約までやってくれる。
……いくらですか。
24,990円。
……それだけですか?
もちろん文字起こしにはサブスクがある。でも月300分まで無料。Proは月2,680円。
……月300分。5時間。
対話パート2: 「300分の壁」
週に2〜3回の会議なら余裕でしょ。1回30分〜1時間として、月10回で5時間。ちょうどいいくらい。
……その計算は「すべての会議が1時間以内で終わる」前提ですわね。
……。
週5日、1日2回の会議がある人。月40回。1回平均45分なら、月1,800分。無料枠の6倍です。
そういう人はPro入ればいいんだよ。月2,680円で1,200分。
1,200分でも足りない場合は?
Unlimitedが年38,980円。
本体24,990円+年38,980円。初年度は約64,000円。
……まあ、でも秘書を雇うよりは安い。
秘書と比較してどうするのですか。比較対象は他のAIレコーダーでしょう。
対話パート3: PLAUD Note Proとの設計思想の差
……PLAUDのことでしょ。
PLAUD Note Pro。30,800円。
| Soundcore Work | PLAUD Note Pro | |
|---|---|---|
| 価格 | 24,990円 | 30,800円 |
| 重量 | 10g | 30g |
| マイク | MEMS×2 | MEMS×4 + VPU×1 |
| ストレージ | 8GB(250時間) | 64GB |
| バッテリー | 8時間(単体) | 30〜50時間 |
| AIモデル | GPT-5.2 | GPT-5.2 / Claude / Gemini |
| 要約テンプレート | 30種 | 10,000種以上 |
| 無料枠 | 月300分 | 月300分 |
……テンプレート10,000種って何。
PLAUDはソフトウェアの拡張性に振り切っている。AIモデルも3つから選べる。一方Soundcore Workは——
ハードウェアの最小化に振り切ってる。
そう。PLAUDは「AIソフトウェアの器としてのレコーダー」。Soundcore Workは「身に着けることを忘れるレコーダー」。設計思想が違う。
……どっちが正しいの?
どちらも正しい。ただし、ユーザーの使い方によって正解が変わる。
対話パート4: 「誰が」使うかで答えが変わる
整理しますわ。
| ユーザータイプ | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 週2〜3回の会議 | Soundcore Work | 無料枠で十分。軽さは正義 |
| 毎日複数会議 | PLAUD Note Pro | バッテリー・ストレージに余裕 |
| 要約品質にこだわる | PLAUD Note Pro | テンプレート数・モデル選択が圧倒的 |
| 会議室に置いて使う | どちらでも | ウェアラブル性は関係ない |
| 取材・インタビュー | Soundcore Work | 10gは相手に圧迫感を与えない |
| オンライン会議録音 | どちらも不向き | Zoom/Teams内蔵機能を使うべき |
オンライン会議、ダメなの?
両方ともマイクで空気振動を拾う設計ですから。PCスピーカーの音をマイクで拾うのは品質が落ちます。オンライン会議はアプリの録画・録音機能を使う方が確実。
つまり、対面会議に特化したガジェットなんだ。
その通り。リモートワーク全盛の今、対面の場面でこそ真価を発揮するというのは皮肉ですわね。
対話パート5: Ankerが参入した意味
でもさ、Ankerが作ったことには意味がある気がする。
……どういう意味で?
PLAUDは専業メーカーでしょ。累計150万台って言ってるけど、一般の人は名前すら知らない。でも「Ankerのレコーダー」って言われたら——
……「あのAnkerが作ったの?」と。
そう。モバイルバッテリーやイヤホンで信頼を積み上げてきたブランドが、AIレコーダー市場に入ってきた。それだけで「ああ、このジャンルは本物なんだ」って認知される。
……市場の正当化、ですわね。
Ankerの参入は、AIレコーダーが「ガジェット好きのおもちゃ」から「ビジネスパーソンの道具」になった証拠だと思う。
価格帯も25,000円を切っている。PLAUDの30,800円に対して、明確にエントリー価格を狙っている。
つまり「初めてAIレコーダーを買う人」はSoundcore Work、「すでに使っていてもっと高機能が欲しい人」はPLAUD。
……その整理、悪くありませんわ。
対話パート6: 「録音」から「理解」へ
……そういえばさ、タイトルに「声を記録する時代は終わった」って書いたけど。
はい。
本当にそうなのかな。AIが文字起こしして要約してくれても、「聞く」行為の本質は変わらない気がする。
……興味深い問いですわね。
たとえば、AIが議事録を完璧に作ってくれたとして。でもその会議で「あの人の声のトーンが怒っていた」とか「沈黙の間が長かった」とか——そういうのはテキストに残らない。
テキスト化は情報の圧縮であって、体験の再現ではない。
うん。だから「AIレコーダーがあれば会議に出なくていい」は間違いだと思う。
同意します。AIレコーダーは「聞いていたのに聞き逃した部分を補完する道具」であって、「聞かなくていい免罪符」ではない。
……道具の本質を見誤らないこと、か。
どんなAIガジェットにも言えることですわ。
選択ガイド
| 質問 | 回答 | 推奨 |
|---|---|---|
| 初めてAIレコーダーを買う? | はい → | Soundcore Work |
| 毎日3回以上会議がある? | はい → | PLAUD Note Pro |
| 要約テンプレートが重要? | はい → | PLAUD Note Pro |
| とにかく軽さ・携帯性重視? | はい → | Soundcore Work |
| オンライン会議の録音が主目的? | はい → | アプリ内蔵機能を使うべき |
まとめ: 道具は「聞く姿勢」を映す
AIレコーダーの選択は、機能比較の問題じゃないんだな。
「自分が会議で何を聞きたいのか」の問い。Soundcore Workは「まず始めてみる」人のための道具。PLAUD Note Proは「すでに活用している」人のための道具。
そして、どちらを選んでも、AIが聞いてくれるから自分は聞かなくていいとはならない。
その通り。道具は使う人の姿勢を増幅します。聞く気がある人にとってはAIレコーダーは最良の補助輪。聞く気がない人にとっては——
——ただの録音機だ。
ふふ。
録音技術は完成した。文字起こし精度は97%に達した。話者識別も要約も自動化された。
それでも、「聞く」ことの価値は、テクノロジーでは代替できない。
AIレコーダーが本当に変えるのは「記録」ではない。**「記録のあとに何をするか」**だ。