エントリー向けハンコン市場の定番
Logitech G923 - TRUEFORCE搭載のエントリー向けハンコン
シムレーシング入門において、LogitechのGシリーズは長年にわたり定番の地位を確立してきた。G29(PlayStation向け)とG920(Xbox向け)は、手頃な価格と安定した品質で多くのユーザーに支持されてきたモデルである。
2020年に登場したG923は、この系譜を受け継ぎながら、TRUEFORCE技術という新しいフォースフィードバック方式を搭載した。エントリー向けながら、ワンランク上の体験を目指した製品といえる。
TRUEFORCE技術の仕組み
本革巻きステアリングにTRUEFORCE技術を搭載
G923最大の特徴は、Logitech独自のTRUEFORCE技術である。
従来のハンコンは、ゲームから送られてくるFFB(フォースフィードバック)信号をそのまま再生する方式を採用していた。これに対してTRUEFORCEは、ゲームエンジンの物理演算データに直接アクセスし、より繊細なフィードバックを生成する設計となっている。
TRUEFORCEで再現される情報は主に3つ。エンジン回転数に応じた振動、アスファルト・縁石・砂利といった路面の違い、そしてタイヤのグリップ変化やスリップ状態である。対応タイトルでは、これらの情報がリアルタイムでステアリングに伝達される。
ただし、TRUEFORCEは対応タイトル限定の機能である点に注意が必要だ。主な対応タイトルとしては、Gran Turismo 7、Forza Horizon 5、GRID Legends、Assetto Corsa Competizione(限定的)、F1シリーズなどが挙げられる。非対応タイトルでは、通常のFFBとして動作する。
ギアドライブ方式の特性
デュアルモーターギアドライブ方式を採用
G923はギアドライブ方式を採用している。ハンコンの駆動方式は大きく3種類あり、それぞれに特性がある。
ギアドライブは、モーターの回転をギアで伝達する方式で、構造がシンプルで耐久性に優れ、製造コストを抑えられる。一方で、ギア機構に起因する動作音が発生し、トルクは約2.2Nmとやや控えめで、FFBのレスポンスにわずかな遅延がある。
ベルトドライブやダイレクトドライブと比較した場合、ギアドライブ特有の「ガリガリ」というノイズは避けられない。ただし、G923ではG29時代から改善が施されており、静音性は向上している。
ステアリングホイールの仕様
直径280mm、D-pad、パドルシフター、各種ボタンを装備
G923のステアリングホイールは本革巻きで、直径280mmのサイズを採用している。レーシングカーのステアリングとしてはやや小ぶりだが、パドルシフターとの距離感が適切で操作性は良好である。
ステアリング上のボタン配置は、D-pad(十字キー)、パドルシフター、回転ダイヤル、+/−ボタン、そしてA/B/X/Yボタン(Xbox版)またはPlayStation向けボタン配置となっている。Gran Turismo 7やForza Horizonシリーズで必要な操作は、ほぼすべてステアリングから行える設計だ。
付属3ペダルセットの構成
フルスチールフレームの3ペダル(アクセル、ブレーキ、クラッチ)が付属
G923には3ペダル(アクセル、ブレーキ、クラッチ)が標準で付属する。
ペダルユニットはフルスチールフレーム構造で、剛性は確保されている。ブレーキペダルにはプログレッシブスプリングが採用されており、踏み込むほど重くなる特性を持つ。
ただし、ポテンショメーター式のため、踏力ではなく踏み込み量で制動力が決まる。ロードセルブレーキのような踏力制御はできないため、精密なブレーキコントロールには限界がある。将来的なアップグレードとしては、Logitech G PRO Racing PedalsやThrustmaster T-LCM等への交換が可能だ。
設置方法と対応環境
付属クランプで最大60mm厚のデスクに設置可能
G923にはデスクへのクランプマウントが付属する。最大60mm厚のデスクに対応しており、一般的なPCデスクであれば問題なく設置可能である。
ペダルユニットはカーペット上では滑りやすい傾向がある。底面へのスパイク取り付けや滑り止めマットの使用など、何らかの対策が必要となる場合が多い。
プラットフォーム対応と製品バリエーション
G923には2つのバージョンが存在する。PlayStation版はPS5/PS4/PCに対応し、Xbox版はXbox Series X|S/Xbox One/PCに対応している。
クロスプラットフォーム対応版は存在しないため、メインで使用するプラットフォームに合わせて選択する必要がある。PCのみで使用する場合は、どちらのバージョンでも動作する。
G29/G920との比較
G923はTRUEFORCE対応、G29は非対応が主な違い
G923とG29/G920の主な違いを整理すると、以下のようになる。
| 項目 | G923 | G29/G920 |
|---|---|---|
| TRUEFORCE | 対応 | 非対応 |
| 回転角度 | 900° | 900° |
| トルク | 約2.2Nm | 約2.2Nm |
| ペダル | 3ペダル | 3ペダル |
| 価格帯 | 約45,000円 | 約35,000円 |
基本スペックはほぼ同一で、主な違いはTRUEFORCE対応の有無である。約1万円の価格差をどう評価するかは、TRUEFORCE対応タイトルのプレイ頻度による。Gran Turismo 7やForza Horizon 5を中心にプレイするならG923の優位性があり、それ以外のタイトルがメインであればG29でも十分な性能を持つ。
なお、Amazonでは G29とマウスパッドのセット商品(Amazon限定)も販売されている。
対応タイトルでのフィードバック特性
TRUEFORCE対応タイトルでは、ゲームエンジンから直接取得した物理演算データがフィードバックに反映される。Gran Turismo 7ではエンジン回転感やタイヤグリップ状態の変化が伝達され、コーナリング中のアンダーステア/オーバーステアの予兆を掴みやすい設計となっている。
Forza Horizon 5では、オープンワールドの多様な路面(アスファルト、砂利、草地など)がTRUEFORCEで表現される。ラリー系コースでは特に路面変化の情報量が増加する。
Assetto Corsa CompetizioneでのTRUEFORCE対応は限定的だが、基本的なFFBは問題なく動作する。ギアドライブの特性上、非常に繊細な路面情報の再現には限界があるものの、エントリー向け製品としては十分な水準にある。
製品の位置づけ
Logitech G923は、シムレーシング入門向けハンコンとして設計された製品である。TRUEFORCE対応の高精度FFB、本革巻きステアリング、3ペダルセット付属、確実なデスクマウント——これらの要素を約45,000円の価格帯で提供している。
ダイレクトドライブ方式のハンコンと比較すると、トルクやレスポンスでは及ばない部分がある。しかし、エントリー向け製品として見れば、機能と価格のバランスは取れている。シムレーシングの世界への入り口として、広く選択される製品となっている。
※ 価格は2026年1月時点の情報です。最新価格はAmazon商品ページをご確認ください。
関連情報
- Logitech G923 公式ページ(製品仕様・サポート)
- シムレーシング入門ガイド(予算別の最適構成)
- Fanatec CSL Shifterレビュー(シフター追加を検討中の方へ)
- シートポジション調整ガイド(デスク設置のコツも解説)