この本について
『なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉』は、アートディレクター・筒井美希氏による、デザイン入門の決定版だ。2015年の刊行以来、累計30万部を超えるベストセラーとなり、デザイン書の定番として多くの人に読まれている。
本書の最大の特徴は、「デザインを言葉で説明する」のではなく、「デザインをデザインで説明する」こと。配色、レイアウト、タイポグラフィといったデザインの基本要素を、豊富なビジュアルと図解で直感的に理解できるよう構成されている。
著者の筒井美希氏は、武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業後、株式会社コンセントでアートディレクター/デザイナーとして活躍。実務経験に裏打ちされた解説は、理論と実践のバランスが絶妙だ。
こんな人におすすめ
- デザインを学び始めた人 - 最初の一冊として最適
- 非デザイナーのビジネスパーソン - 資料作成やプレゼンの質が上がる
- Webデザイナー・UIデザイナー - 基本に立ち返りたいときに
- マーケター・広報担当者 - デザイナーとの共通言語が持てる
- デザインに興味のある学生 - 就活前に読んでおきたい
読みどころ
デザインの7つのステップ
本書は、デザイン制作のプロセスを7つのステップに分解している。
- どんなデザイン? - 目的の明確化
- 何を伝える? - メッセージの整理
- 誰に伝える? - ターゲットの理解
- なにで伝える? - メディアの選択
- どう伝える? - 表現方法の決定
- どのくらい? - 優先順位の設定
- どうやって? - 制作の実行
このフレームワークは、デザイン以外のコミュニケーション全般にも応用できる汎用性の高いものだ。
「デザインの引き出し」を増やす
本書の中盤では、デザインの基本要素を「引き出し」として紹介している。
| 引き出し | 内容 |
|---|---|
| 文字と組み | フォント選び、文字間、行間 |
| 言葉と文章 | コピーライティング、キャッチコピー |
| 色 | 配色、色の印象、アクセントカラー |
| 写真とグラフィック | 写真の選び方、イラストの使い方 |
| レイアウトと構図 | 余白、グリッド、視線誘導 |
各要素がビジュアル見開きで解説されているため、パラパラとめくるだけでも発見がある。これがまさに「目で見て楽しむ」という副題の意味だ。
デザインのNG例も豊富
デザイン書には「良い例」ばかりを載せる本も多いが、本書では「ダメな例」も豊富に掲載されている。
- 「なぜこのレイアウトはダメなのか」
- 「なぜこの配色は見づらいのか」
- 「なぜこのフォントは読みにくいのか」
NG例を見ることで、自分のデザインの「どこがダメなのか」を客観視できるようになる。これは実務で非常に役立つスキルだ。
「デザインのモト」で本質を理解
本書の後半では、デザインの背景にある「考え方」を解説している。
- デザインの本質 - デザインとは何か
- 素材との向き合い方 - 良い素材をどう活かすか
- 完成度の上げ方 - 最後の仕上げで差がつく
これらは、テクニック以上に重要な「デザインの哲学」とも言える内容だ。
実践への活用
本書を読んだ後、すぐに実践できるステップを紹介する。
ステップ1:既存のデザインを観察する
まずは身の回りのデザインを「7つのステップ」の視点で観察してみよう。
- このポスターは誰に向けているのか?
- この Webサイトは何を伝えようとしているのか?
- このパッケージはどう伝えているのか?
観察眼を養うことで、自分のデザインにも活かせるようになる。
ステップ2:引き出しを意識して作る
次に、自分でデザインを作る際、本書で学んだ「引き出し」を意識してみよう。
- まず文字と組みを決める
- 次に色を選ぶ
- レイアウトで整理する
- 最後に全体を見直す
分解して考えることで、「なんとなく良くない」を「ここが問題」に変換できる。
ステップ3:デザインのツールを使いこなす
本書で学んだ知識を実践するために、デザインツールを活用しよう。
- カラーパレット生成ツール - 配色を試す
- 配色ギャラリー - 良い配色を参考にする
- カラーコード変換 - 色を正確に扱う
ツールと知識を組み合わせることで、デザインの質が格段に向上する。
関連書籍
- 『けっきょく、よはく。』ingectar-e - 余白の使い方に特化した名著
- 『一生使える見やすい資料のデザイン入門』森重湧太 - プレゼン資料特化
- 『配色アイデア手帖』桜井輝子 - 配色パターン集
- 『タイポグラフィの基本ルール』大崎善治 - 文字組みの基礎
まとめ
『なるほどデザイン』は、デザインを学ぶ最初の一冊として、これ以上ないほど最適な本だ。
「デザインをデザインで説明する」という本書のコンセプトは、読むだけで「なるほど」と思わせる説得力がある。デザイナーを目指す人はもちろん、資料作成やプレゼンの質を上げたいビジネスパーソンにも強くおすすめできる。
本棚に置いておいて、困ったときにパラパラとめくる—そんな使い方ができる、長く愛用できる一冊だ。