Thrustmasterのフラッグシップ・ダイレクトドライブ
Thrustmaster T818 - 10Nmダイレクトドライブのフラッグシップモデル
Thrustmaster T818は、同社のハンコンラインナップにおけるフラッグシップモデルである。10Nmのダイレクトドライブ駆動を採用し、光学式リニアエンコーダによる高精度なステアリング検出を実現している。
PC専用という制約はあるが、その分コンソール向けのライセンス料がかからず、純粋にPC向けシミュレーターに最適化された設計となっている。
10Nmダイレクトドライブの仕様
コンパクトなボディに10Nmのパワーを凝縮
T818の最大トルクは10Nmで、これはコンシューマー向けダイレクトドライブとしてはハイエンドの水準にある。
| 製品 | 駆動方式 | 最大トルク | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| Logitech G923 | ギア | 約2.5Nm | エントリー |
| MOZA R5 | DD | 5.5Nm | エントリーDD |
| Fanatec GT DD Pro | DD | 8Nm | ミドルDD |
| Thrustmaster T818 | DD | 10Nm | ハイエンドDD |
| Fanatec DD1 | DD | 20Nm | プロフェッショナル |
10Nmのトルクは、コーナリング時のステアリング荷重変化、縁石への乗り上げ、タイヤスリップ——これらの情報を明確なフォースフィードバックとして伝達する。ギアドライブやベルトドライブ製品では得られない、ダイレクトな路面情報がステアリングに伝わる。
光学式リニアエンコーダ
T818の特徴の一つが、ステアリング角度検出に光学式リニアエンコーダを採用している点である。
従来のエンコーダと比較して、以下の利点がある:
- 高分解能: 微細なステアリング操作も正確に検出
- 遅延の低減: 光学式による高速な信号処理
- 経年劣化に強い: 接触部品が少なく、長期間安定した性能を維持
これにより、コーナリング中の微調整や、ドリフト時の素早いカウンターステアなど、繊細な操作が正確に反映される。
Thrustmaster Ecosystemとの互換性
T818は、Thrustmaster製品のエコシステムに完全対応している。
対応ステアリング
| ステアリング | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| SF1000 | フェラーリF1公式レプリカ | フォーミュラ |
| Formula Wheel Add-On | コンパクトフォーミュラ | フォーミュラ |
| TM Open Wheel Add-On | オープン型 | GT/フォーミュラ |
| T-GT II Rim | 28cm GTスタイル | GT |
| Sparco R383 Mod | ラリー向け | ラリー |
ステアリングはワンタッチで交換可能で、レースカテゴリーに応じた使い分けができる。
対応ペダル
Thrustmaster製ペダル(T-LCM、T3PA PRO等)はもちろん、USB接続のペダルであれば他社製品との併用も可能である。特にT-LCMペダルとの組み合わせは、ロードセルブレーキの精度とT818のFFB精度を両立できる構成として推奨される。
Thrustmaster Control Panel
T818は、Windows用ソフトウェア「Thrustmaster Control Panel」で詳細な設定が可能である。
主な設定項目
- 全体トルク: 0-100%で調整
- FFB強度: ゲーム別に最適化
- デッドゾーン: ステアリング中央付近の不感帯を調整
- 感度カーブ: リニアまたはカスタムカーブ
- 回転角度: 270°~900°で可変
さらに、ゲームごとにプリセットを保存でき、タイトルに応じた最適設定に素早く切り替えられる。
PC専用という選択
T818がPC専用である点は、メリットとデメリットの両面がある。
メリット
- コンソールライセンス料不要: 価格を抑えられる
- PC最適化: ドライバ・ソフトウェアがPC環境に特化
- 幅広いタイトル対応: Steam、iRacing、ACC、rFactor 2等すべてに対応
- 高リフレッシュレート対応: 144Hz以上のモニターでスムーズなFFB
デメリット
- コンソール非対応: PS5/Xbox Series X|Sでは使用不可
- PC環境が必須: ゲーミングPC(最低GTX 1060程度)が別途必要
PC環境をすでに持っているユーザー、またはこれから本格的にシムレーシングを始めるためにPC環境を構築する予定のユーザーには最適な選択肢となる。
対応タイトル
T818は、主要なPC向けレースシミュレーターに対応している。
フル対応(FFB最適化済み)
- Assetto Corsa / Assetto Corsa Competizione
- iRacing
- F1 24 / F1 Manager
- Gran Turismo 7(PC版)
- rFactor 2
- Automobilista 2
- Le Mans Ultimate
- Dirt Rally 2.0
- WRC Generations
- BeamNG.drive
基本対応
- Forza Motorsport / Forza Horizon
- Project CARS 2
- Need for Speed シリーズ
設置環境の要件
10Nmのトルクは、設置環境にも相応の強度を要求する。
最低要件
- デスク設置: 非推奨(クランプが外れる・机が動くリスクあり)
- コックピット推奨: 専用コックピットまたはホイールスタンドが必要
- 電源: 280W電源アダプター対応のコンセント
推奨コックピット
| メーカー | 製品 | 価格帯 |
|---|---|---|
| Next Level Racing | GTtrack | 約19万円 |
| Playseat | Trophy | 約8万円 |
| Strasse | Phantom | 約15万円 |
コックピットを使用することで、T818の10Nmトルクを最大限に活かすことができる。
競合製品との比較
PC向けハイエンドDDホイールベース市場における主要製品との比較を以下に示す。
| 製品 | トルク | 対応機種 | 価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Thrustmaster T818 | 10Nm | PC | 約9万円 | Thrustmaster互換、光学式エンコーダ |
| Fanatec CSL DD | 5-8Nm | PC/PS | 約5万円〜 | マルチプラットフォーム、拡張性 |
| MOZA R9 | 9Nm | PC | 約6万円 | コスパ、MOZA互換 |
| Simagic Alpha Mini | 10Nm | PC | 約10万円 | 高品質、金属筐体 |
T818の強みは、Thrustmasterの長年の実績と、SF1000等の公式ライセンスステアリングとの組み合わせにある。特にF1やフェラーリファンにとっては、SF1000ステアリングとの組み合わせが大きな魅力となる。
購入前の確認事項
T818導入を検討する際に、いくつかの点を確認しておく必要がある。
- PC環境: Windows 10/11の動作するゲーミングPCが必要
- ステアリング: 別売り。SF1000やFormula Wheel Add-On等を別途購入
- ペダル: 別売り。T-LCMペダル等を別途購入
- 設置環境: コックピットまたは強固なホイールスタンドを用意
- 予算: ベース(約9万円)+ ステアリング(3-6万円)+ ペダル(3万円〜)= 合計15-18万円程度
製品の特性
Thrustmaster T818は、PC向けダイレクトドライブ市場におけるハイエンド製品として位置づけられる。
主な特徴として、10Nmのダイレクトドライブ駆動、光学式リニアエンコーダによる高精度検出、Thrustmaster Ecosystemとの完全互換性、そして老舗メーカーとしての信頼性が挙げられる。
PC専用、ステアリング・ペダル別売りという点は購入前に確認が必要だが、本格的なシムレーシング環境を構築するユーザーにとっては有力な選択肢となる製品である。
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