確定申告の時期が近づいてきた。2026年(令和7年)の確定申告期間は2月17日(月)〜3月16日(月)。副業収入がある会社員、フリーランス、医療費控除やふるさと納税を申告したい人は、この期間に手続きを行う必要がある。
本記事では、確定申告の基礎知識から具体的な申告手順まで、初めての人でも迷わないよう体系的に解説する。
確定申告が必要な人・不要な人
確定申告が必要なケース
| 対象者 | 条件 |
|---|---|
| 会社員(副業あり) | 副業所得が年間20万円を超える |
| フリーランス・個人事業主 | 事業所得がある(金額問わず) |
| 2か所以上から給与 | 年末調整されていない給与がある |
| 給与2,000万円超 | 年収2,000万円を超える会社員 |
| 退職金受給者 | 「退職所得の受給に関する申告書」未提出 |
| 不動産収入あり | 家賃収入などがある |
| 株式売却益あり | 特定口座(源泉徴収なし)で利益が出た |
確定申告が不要でも「した方が得」なケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 医療費が10万円超 | 医療費控除で還付を受けられる |
| ふるさと納税をした | ワンストップ特例を使わない場合は申告必要 |
| 住宅ローン控除(初年度) | 2年目以降は年末調整で可能 |
| 副業で赤字 | 給与所得と損益通算できる場合がある |
| 年途中で退職 | 年末調整未実施で源泉徴収税額が多すぎる可能性 |
副業の「20万円ルール」を正しく理解する
ルールの内容
給与所得者(会社員) が副業で得た 雑所得が年間20万円以下 の場合、所得税の確定申告は不要。
ただし、以下の点に注意が必要。
よくある誤解
| 誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 売上20万円以下なら申告不要 | ❌ 経費を引いた**所得(利益)**が基準 |
| 住民税も申告不要 | ❌ 住民税は1円でも申告義務あり |
| 複数の副業合計でOK | ⚪️ すべての雑所得を合算して判定 |
| 源泉徴収されていれば不要 | ❌ 源泉徴収と申告義務は別問題 |
住民税の申告
副業所得が20万円以下でも、住民税の申告は必要。市区町村の窓口で「住民税申告書」を提出するか、確定申告を行う(確定申告すれば住民税申告は不要)。
所得の種類と計算方法
主な所得の種類
| 所得の種類 | 内容 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 給与所得 | 会社からの給料 | 給与収入 - 給与所得控除 |
| 事業所得 | 個人事業の収益 | 売上 - 経費 |
| 雑所得 | 副業、年金など | 収入 - 必要経費 |
| 不動産所得 | 家賃収入など | 収入 - 必要経費 |
| 譲渡所得 | 資産の売却益 | 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用 |
給与所得控除の計算
給与収入から自動的に差し引かれる控除。2024年分以降の速算表:
| 給与収入 | 控除額 |
|---|---|
| 162.5万円以下 | 55万円 |
| 162.5万円超〜180万円以下 | 収入×40% - 10万円 |
| 180万円超〜360万円以下 | 収入×30% + 8万円 |
| 360万円超〜660万円以下 | 収入×20% + 44万円 |
| 660万円超〜850万円以下 | 収入×10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
控除の種類と適用条件
所得控除の一覧
| 控除名 | 控除額 | 条件 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 48万円 | 所得2,400万円以下の全員 |
| 社会保険料控除 | 支払額全額 | 健康保険・年金など |
| 生命保険料控除 | 最大12万円 | 生命・介護・個人年金保険 |
| 地震保険料控除 | 最大5万円 | 地震保険料 |
| 医療費控除 | 最大200万円 | 医療費 - 10万円(または所得の5%) |
| 寄附金控除 | 寄附額 - 2,000円 | ふるさと納税など |
| 配偶者控除 | 最大38万円 | 配偶者の所得48万円以下 |
| 扶養控除 | 38〜63万円 | 扶養親族の年齢による |
| 小規模企業共済等控除 | 掛金全額 | iDeCo・小規模企業共済 |
医療費控除のポイント
対象になるもの:
- 病院の診療費・治療費
- 処方薬の費用
- 通院の交通費(公共交通機関)
- 入院費用
- 歯科治療費(保険外含む)
対象にならないもの:
- 健康診断・人間ドック(異常なしの場合)
- 美容目的の施術
- サプリメント・健康食品
- 自家用車のガソリン代
計算式:
医療費控除額 = 支払った医療費 - 保険金等 - 10万円(または所得の5%)
ふるさと納税の申告
ワンストップ特例と確定申告の違い
| 項目 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 寄附先の数 | 5自治体以内 | 制限なし |
| 手続き | 各自治体に申請書送付 | 確定申告で一括 |
| 控除の仕組み | 住民税から全額控除 | 所得税還付+住民税減額 |
| 他の申告 | 確定申告しない人向け | 確定申告する人向け |
確定申告でふるさと納税を申告する場合
必要書類:
- 寄附金受領証明書(各自治体から届く)
- または「寄附金控除に関する証明書」(ふるさと納税サイト発行)
注意点:
- ワンストップ特例を申請済みでも、確定申告をすると特例は無効になる
- 確定申告する場合は、すべてのふるさと納税を申告に含める必要がある
e-Taxでの電子申告手順
事前準備
- マイナンバーカードの取得(推奨)
- ICカードリーダーまたはスマートフォンの準備
- 利用者識別番号の取得(ID・パスワード方式の場合)
申告の流れ
Step 1: 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
↓
Step 2: 申告書の種類を選択(所得税の確定申告書)
↓
Step 3: 収入・所得の入力
↓
Step 4: 控除の入力(医療費、ふるさと納税など)
↓
Step 5: 源泉徴収税額の入力
↓
Step 6: 還付金の振込先口座を入力
↓
Step 7: マイナンバーで電子署名
↓
Step 8: 送信完了
ID・パスワード方式
マイナンバーカードがない場合、税務署で本人確認を行い「ID・パスワード方式の届出」をすることで電子申告が可能。ただし、マイナンバーカード方式が推奨されている。
確定申告の期限と届出
2026年(令和7年)のスケジュール
| 項目 | 期限 |
|---|---|
| 確定申告期間 | 2月17日(月)〜3月16日(月) |
| 還付申告 | 1月1日から5年間いつでも可 |
| 振替納税の届出 | 3月16日まで |
| 口座振替日 | 4月下旬(予定) |
期限に間に合わない場合
- 期限後申告: 申告は可能だが、無申告加算税(5〜20%)が課される可能性
- 延滞税: 納付が遅れると年率約8.7%〜14.6%の延滞税
- 青色申告特別控除: 期限後申告では65万円控除が10万円に減額
よくある質問(FAQ)
Q. 副業がバレたくない場合は?
確定申告書の「住民税の徴収方法」で**「自分で納付」**を選択する。これにより、副業分の住民税が会社の給与から天引きされず、自分で納付することになる。
Q. 経費として認められるものは?
事業や副業に直接関係する支出が経費になる。
| 認められやすい | 認められにくい |
|---|---|
| 仕事用PC・機材 | プライベート兼用の全額 |
| 仕事専用の通信費 | 家庭用と共用の全額 |
| 取材・調査費用 | 趣味と区別がつかないもの |
| 書籍・セミナー代 | 娯楽目的の支出 |
Q. 領収書がない場合は?
- クレジットカード明細
- 銀行の振込記録
- 出金伝票(自己作成可)
上記で代用可能。ただし、税務調査で否認されるリスクはゼロではない。
Q. 還付金はいつ届く?
- e-Tax: 約2〜3週間
- 紙の申告書: 約1〜2ヶ月
編集部の分析
副業収入別の確定申告判断フローチャート
副業収入がある
↓
所得(収入-経費)が20万円超?
├─ Yes → 確定申告必須
└─ No → 所得税の確定申告は不要
↓
住民税の申告は必要
↓
確定申告すれば住民税申告も完了
還付が期待できるケースの試算
年収500万円の会社員が、以下の控除を申告した場合の還付目安:
| ケース | 控除額 | 還付目安 |
|---|---|---|
| 医療費控除のみ(医療費20万円) | 10万円 | 約1〜2万円 |
| ふるさと納税のみ(5万円) | 4.8万円 | 約1万円(+住民税減額) |
| 医療費+ふるさと納税 | 14.8万円 | 約2〜3万円 |
※実際の還付額は所得や他の控除によって異なる
確定申告にかかる時間の目安
| 申告内容 | 初回 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 給与+ふるさと納税のみ | 1〜2時間 | 30分〜1時間 |
| 給与+副業(簡易) | 2〜3時間 | 1〜2時間 |
| フリーランス(青色申告) | 半日〜1日 | 2〜4時間 |
e-Taxを使えば、入力したデータが翌年以降も引き継がれるため、2回目以降は大幅に時短できる。
検討のポイント
確定申告をした方がいいケース
- 医療費が年間10万円を超えた
- ふるさと納税を6自治体以上にした
- 年の途中で退職・転職した
- 副業で経費を多く使った(赤字の可能性)
- 住宅ローン控除の初年度
税理士に依頼を検討すべきケース
- 複数の所得がある(給与+事業+不動産など)
- 年間売上が1,000万円を超える
- 法人成りを検討している
- 過去の申告に誤りがある可能性
確定申告の概算シミュレーション
当サイトの確定申告計算ツールで、所得税・住民税の概算シミュレーションが可能。還付金の目安やふるさと納税の上限額も確認できる。