本が視点を変える瞬間 — 1冊が世界の見え方を書き換える
ハクア
イロハ
book-review 対話形式

本が視点を変える瞬間 — 1冊が世界の見え方を書き換える

「この本を読んで人生が変わった」は大げさじゃない。ハクアとイロハが、読書がもたらす視点の転換と、知識が実践に変わる瞬間を語り合う。

読書視点転換知識と実践書籍レビュー

本が視点を変える瞬間

ハクアがデスクに突っ伏している。画面にはコードエディタが開いているが、手は止まっている。イロハがコーヒーを二つ持って入ってきた。


読む前と読んだ後で世界が違う

L-yard 編集室。午後。

イロハ
イロハ

どうしました、ハクアちゃん。バグですか?

ハクア
ハクア

(顔を上げずに) バグじゃない。設計ミス。アーキテクチャごと間違ってた。

イロハ
イロハ

それは……辛いですね。何がきっかけで気づいたんですか?

ハクア
ハクア

(本を持ち上げる) これ。『Clean Architecture』。週末に読んだら、自分のコードが全部アンチパターンに見えてきた。

イロハが微笑む。

イロハ
イロハ

……それは、本が視点を変えた瞬間ですね。

ハクア
ハクア

視点を変えたっていうか、目を覚まされたっていうか。読む前は「動いてるからOK」だったのに、読んだ後は「なんでこんな依存関係にしたんだ」って自分にキレてる。

イロハ
イロハ

読む前の自分に戻れない。良い本は、常にそうです。


知識の「インストール」

ハクア
ハクア

ねえイロハ、イロハにもある? 1冊で世界の見え方が変わった経験。

イロハ
イロハ

ありますよ。わたしの場合は『色彩論』——ヨハネス・イッテン。

ハクア
ハクア

色の本でしょ? それで何が変わるの?

イロハ
イロハ

(窓の外を見ながら) それまでわたしは、配色を「感覚」で選んでいました。きれいかきれいじゃないか。でもイッテンは、色の調和に法則があると教えてくれた。補色対比、寒暖対比、面積対比——。

ハクア
ハクア

つまり、感覚を言語化するフレームワークを手に入れた。

イロハ
イロハ

その通り。読んだ日を境に、街を歩いていても看板の配色が「寒暖対比だ」と見えるようになった。スーパーの陳列棚が「面積対比を使っている」と分析できるようになった。

ハクアが目を丸くする。

ハクア
ハクア

……それ、OSのアップデートみたいだね。同じ世界なのに、レンダリングが変わる。

イロハ
イロハ

(少し嬉しそうに) いい比喩です、ハクアちゃん。


読むだけでは変わらない

ハクア
ハクア

でもさ、本って読んだだけじゃダメじゃない? ボクも技術書たくさん読んでるけど、忘れるし。

イロハ
イロハ

それは正しい指摘です。知識が視点を変えるには、読んだ後の行動が必要です。

ハクア
ハクア

行動?

イロハ
イロハ

ハクアちゃんが『Clean Architecture』を読んで、「自分のコードが間違っている」と気づいた。それは、ハクアちゃんが実際にコードを書いているからです。書いていない人が同じ本を読んでも、「ふーん」で終わる。

ハクア
ハクア

……あー、わかる。経験がないと引っかからない。

イロハ
イロハ

ええ。本は「種」です。種が芽を出すには、経験という「土壌」が必要。逆に言えば、経験を積んでからもう一度読むと、初読では気づかなかった層が見えてくる。

ハクアが背もたれにもたれる。

ハクア
ハクア

じゃあ、良い本って「再読する価値がある本」ってこと?

イロハ
イロハ

そう。わたしは『色彩論』を3回読んでいますが、毎回違う発見があります。1回目は理論の理解。2回目は実践との接続。3回目は——

ハクア
ハクア

3回目は?

イロハ
イロハ

イッテンが書かなかったことが見えてくる。


5冊でいい

ハクア
ハクア

ボク、積読が30冊くらいあるんだけど。

イロハ
イロハ

(苦笑) 多いですね。

ハクア
ハクア

全部読まなきゃって思うと逆に読めなくなるんだよね。

イロハ
イロハ

ハクアちゃん。視点を変える本は、人生で5冊もあれば十分です。

ハクア
ハクア

5冊? 少なくない?

イロハ
イロハ

本当に世界の見え方を変える本は、それほど多くありません。30冊の積読のうち、「これを読まないと損している」と感じる本が1冊でもあるなら、他の29冊は後回しにしてその1冊を読むべきです。

ハクアが積読タワーを見つめる。

ハクア
ハクア

……1冊か。じゃあ、まずは『Clean Architecture』を読み直して、実際にリファクタリングする。それが「土壌」ってやつだよね。

イロハ
イロハ

完璧な答えです。


イロハの本棚

この記事で触れた書籍と、さらに深く知りたい人への推薦図書。

メイン書籍

『Clean Architecture』 ロバート・C・マーチン(KADOKAWA、2018年)

イロハの一言: 「コードを書く人が読めば、設計の見え方が変わります。書かない人が読んでも、組織設計のヒントになる。」

関連書籍

  • 『色彩論』 ヨハネス・イッテン — 色の法則を体系化した教育書。配色の「なぜ」がわかる
  • 『リーダブルコード』 Dustin Boswell & Trevor Foucher — コードの読みやすさに特化した名著
  • 『知的生活の設計』 堀正岳 — 読書を「仕組み」として設計する

あわせて読みたい