Fanatec vs MOZA 徹底比較 2026|予算・対応機種・FFB品質で選ぶダイレクトドライブ
ダイレクトドライブのホイールベースを選ぶとき、2026年の選択肢は実質2強に絞られる。ドイツの老舗FanatecとChinese Newcomer MOZAだ。
Fanatecは2024年にCorsairに買収され、グローバル流通と品質管理を強化。MOZAはカメラジンバルの精密モーター技術を武器に、攻撃的な価格で市場を拡大している。
どちらを選ぶべきか。結論を先に言えば、PlayStationで使うならFanatec一択、PCオンリーならMOZAがコスパで勝る。ただし、それだけでは片付かない細部がある。
製品ラインナップ比較
Fanatec(2026年2月時点)
| モデル | トルク | 価格(税込目安) | 対応機種 |
|---|---|---|---|
| CSL DD QR2(5Nm) | 5 Nm | 約5.5万円 | PC / Xbox |
| CSL DD QR2(8Nm) | 8 Nm | 約7万円 | PC / Xbox |
| GT DD Pro | 8 Nm | 約8.5万円 | PC / PS4 / PS5 |
| ClubSport DD | 12 Nm | 約10万円 | PC / Xbox |
| ClubSport DD+ | 15 Nm | 約13万円 | PC / Xbox / PS5 |
| Podium DD | 25 Nm | 約19万円 | PC / Xbox |
2026年2月、Podium DD発売に伴い全ラインナップで値下げが実施された。ClubSport DD+は200ユーロ引きと大幅な改定だ。
MOZA(2026年2月時点)
| モデル | トルク | 価格(税込目安) | 対応機種 |
|---|---|---|---|
| R3 バンドル | 3.9 Nm | 約4.5万円 | PC / Xbox※ |
| R5 バンドル | 5.5 Nm | 約6万円 | PC |
| R9 V3 | 9 Nm | 約5万円 | PC |
| R12 V2 | 12 Nm | 約7万円 | PC |
| R21 Ultra | 21 Nm | 約11万円 | PC |
| R25 Ultra | 25 Nm | 約14万円 | PC |
※R3のXbox対応はESXホイール使用時のみ。MOZA全製品がPlayStation非対応。
比較軸1: 価格
同トルク帯で比較すると、MOZAがFanatecより概ね1-3万円安い。
| トルク帯 | Fanatec | MOZA | 差額 |
|---|---|---|---|
| 5 Nm | CSL DD(5.5万円) | R5(6万円) | ほぼ同額 |
| 8-9 Nm | CSL DD 8Nm(7万円) | R9 V3(5万円) | 2万円差 |
| 12 Nm | ClubSport DD(10万円) | R12 V2(7万円) | 3万円差 |
| 21-25 Nm | Podium DD(19万円) | R21 Ultra(11万円) | 8万円差 |
エントリー帯では差が小さいが、ハイエンドに近づくほどMOZAの価格優位が拡大する。Podium DD 25NmとR21 Ultra 21Nmでは8万円の差がある。
ただし、ホイールベース単体の価格だけでは比較が成立しない。Fanatecはホイールベース+ステアリングホイール+ペダルを別売りで揃える設計。MOZAのR3/R5はバンドル(ベース+ホイール+ペダルのセット)で、箱を開けてすぐ走れる。
比較軸2: フォースフィードバック品質
FFBの質はどちらも2026年時点で高水準に達しており、差は好みの領域に入りつつある。
Fanatecの特徴
- 重厚でメカニカルな手応え。実車のステアリングに近い「重さ」を感じさせる
- Podium DDのFullForce技術はDirectInputとゲームAPIテレメトリを連動し、タイトル固有の路面データをモーターに反映
- 低トルク域(CSL DD 5Nm)でもフィードバックの解像度が高い
MOZAの特徴
- スムーズで繊細なフィードバック。カメラジンバル由来のモーター制御技術が活きている
- NexGen 4.0アルゴリズムはファームウェア更新で継続的に改善されている
- R12 V2以降のFFBは「価格帯を超えた品質」と複数のレビュアーが評価
- R25 Ultraにはトルクセンサーが搭載され、力覚の精度がさらに向上
結論
FFB品質の差だけで購入を決められるほどの優劣はない。「重厚さ」を好むならFanatec、「繊細さ」を好むならMOZA。どちらも十分に路面情報を伝えてくれる。
比較軸3: コンソール対応
これが最も重要な判断基準になる場合が多い。
| プラットフォーム | Fanatec | MOZA |
|---|---|---|
| PC | 全製品 | 全製品 |
| Xbox | CSL DD / ClubSport DD / DD+ / Podium DD | R3のみ(ESXホイール使用時) |
| PlayStation | GT DD Pro / ClubSport DD+ | 非対応 |
PS5でGran Turismo 7をプレイする場合、選択肢はFanatecのGT DD ProかClubSport DD+に限られる。MOZAにはPlayStation対応製品が存在しない。
Xboxについても、Fanatecは主要モデル全てが対応。MOZAはR3バンドルの一部構成でのみXboxに対応する。
PCのみで使うと割り切れるなら、コンソール対応分のプレミアムを払う必要がないMOZAが合理的だ。
比較軸4: エコシステム
ステアリングホイールの選択肢
| カテゴリ | Fanatec | MOZA |
|---|---|---|
| ラウンド型 | 10種以上 | 5種程度 |
| フォーミュラ型 | 8種以上 | 4種程度 |
| GT型 | 5種以上 | 3種程度 |
| ライセンス品 | Porsche / BMW / WRC / F1 | Porsche / Lamborghini / Mercedes |
| 合計 | 40種以上 | 15種程度 |
Fanatecのホイール選択肢はMOZAの約3倍。ライセンスパートナーの数でもFanatecが上回る。ただし、MOZAも急速にラインナップを拡大しており、一般的な用途では十分な選択肢がある。
周辺機器
| 機器 | Fanatec | MOZA |
|---|---|---|
| ペダル | CSL Pedals〜ClubSport V3 | SR-P Lite / CRP2 / mBooster |
| シフター | ClubSport SQ 1.5 | HGP |
| ハンドブレーキ | ClubSport Handbrake | HBP |
| ダッシュボード | なし | CM2 HD |
| コックピット | CSL Cockpit | なし |
MOZAはダッシュボードモニター(CM2 HD)を自社で展開している点が特徴的だ。一方、Fanatecはコックピットフレームまで自社で揃えられる。
クイックリリース
- Fanatec QR2: 金属製の統一規格。全ホイール・全ベースで互換性がある
- MOZA QR / QR-Lite: QR-Liteはプラスチック製で、高トルク時にわずかなガタが出る報告がある。上位のQRは金属製で問題なし
予算別おすすめ構成
5万円以下:初めてのダイレクトドライブ
| 推奨 | 構成 | 理由 |
|---|---|---|
| MOZA R3 バンドル | ベース+ホイール+ペダル一式 | この価格帯でDD体験ができるのはMOZAのみ |
5-10万円:本格エントリー
| 条件 | 推奨 | 構成 |
|---|---|---|
| PCオンリー | MOZA R12 V2 + ホイール + ペダル | 12Nm、21bitエンコーダー。FFBの質が高い |
| PS5で使いたい | Fanatec GT DD Pro バンドル | PS5対応の唯一のDD。8Nmでも十分走れる |
10-15万円:ミドル〜ハイ
| 条件 | 推奨 | 構成 |
|---|---|---|
| PCオンリー | MOZA R21 Ultra + GS V3 + CRP2 | 21Nmで11万円。同トルク帯の競合より大幅に安い |
| PS5+PC | Fanatec ClubSport DD+ + ホイール | 15Nm。PS5/Xbox/PC全対応の唯一のオールラウンダー |
15万円以上:ハイエンド
| 条件 | 推奨 | 構成 |
|---|---|---|
| FFB最重視 | MOZA R25 Ultra | 25Nm + トルクセンサー。Simucubeクラスの性能を半額以下で |
| Fanatecエコシステム | Fanatec Podium DD | 25Nm(ピーク33Nm)。FullForce技術。40種のホイール |
ソフトウェアの使い勝手
Fanatec Control Panel
基本的なFFB調整とファームウェア更新に対応。機能としては必要十分だが、UIはやや古い印象を受ける。設定項目の説明が少なく、初心者にはパラメータの意味が分かりにくい場合がある。
MOZA Pit House
モダンなUIで直感的に操作できる。FFBの詳細チューニング、ゲーム別プロファイル保存、デバイスの状態監視などが1つのアプリに統合されている。ファームウェア更新の頻度も高く、コミュニティのフィードバックが反映されるスピードが速い。
ソフトウェアの完成度ではMOZAに分がある。
購入前に確認すべき3つのこと
1. 使うプラットフォームを明確にする
PS5でプレイする可能性が少しでもあるなら、Fanatec以外の選択肢はない。「PCだけで十分」と断言できるなら、MOZAのコスパを活かせる。
2. 将来のアップグレードを想定する
Fanatecはベースを買い替えてもホイールとペダルを使い回せるため、段階的なアップグレードがしやすい。MOZAも同様だが、旧世代(V1)と新世代(V2以降)で接続方式が異なるケースがある点に注意。
3. デスクマウントか専用リグか
8Nm以下のベースはデスクマウントでも安定する。12Nm以上になると、ステアリングを切る際の反力でデスクが動く可能性がある。専用リグの導入が事実上必須になる。
まとめ:選択フローチャート
PlayStationで使う?
├─ Yes → Fanatec(GT DD Pro or ClubSport DD+)
└─ No
└─ Xboxで使う?
├─ Yes → Fanatec推奨(豊富なXbox対応モデル)
└─ No(PCのみ)
├─ 予算5万円以下 → MOZA R3バンドル
├─ 予算5-10万円 → MOZA R12 V2
├─ 予算10-15万円 → MOZA R21 Ultra
└─ 予算15万円以上 → MOZA R25 Ultra or Fanatec Podium DD
両ブランドともに2026年のダイレクトドライブ市場を牽引する存在であり、どちらを選んでも「失敗」はない。違いは、エコシステムの広さと引き換えに払うプレミアムを受け入れるか(Fanatec)、コスパを優先してPC専用に割り切るか(MOZA)だ。