AIツールで変わる制作ワークフロー
ハクアがいつもより早く出勤している。珍しい。理由は、昨夜Claude Codeに任せたリファクタリングの結果を確認するためだ。
「こっちのほうが速い」
L-yard 編集室。朝。ハクアがコードを見ている
(独り言) ……うわ、ボクが3時間かけて書いたコードを、15分でリファクタリングしてる。しかもボクのより読みやすい。
(入ってきて) おはようございます。何を見ているんですか?
Claude Codeの出力。昨日の夜、L-yardのコンポーネントをリファクタリングさせたんだけど——これ見てよ。ボクの命名規則の癖まで理解して、一貫性を保ったまま整理してる。
ハクアちゃんの仕事が、AIに置き換えられつつある?
(ちょっと黙って) ……一部はね。正直、定型的なリファクタリングはもうAIのほうが速い。
AIが得意なこと、苦手なこと
わたしにもAIの話、聞かせてもらえますか? デザインの領域でも、Midjourney、DALL-E、Fluxの画像生成AIが話題です。
イロハも使ってるの?
L-yardのサムネイル生成には使っています。ただ、使えば使うほど、AIの得意と苦手がはっきりしてきました。
| 領域 | AIが得意 | AIが苦手 |
|---|---|---|
| コーディング | 定型パターンの実装、リファクタリング | アーキテクチャ設計、要件定義 |
| デザイン | コンセプトイメージ生成、バリエーション | ブランドの一貫性、文脈の理解 |
| ライティング | 構成の叩き台、要約 | 独自の視点、感情の機微 |
| データ分析 | パターン検出、異常検知 | 因果関係の解釈、仮説立案 |
ボクの経験だと、AIは「What(何を作るか)」を指示すれば「How(どう作るか)」は上手い。でも「Why(なぜ作るか)」と「What」の判断は人間がやらないとダメ。
同感です。わたしの場合、「このセクションにこういう雰囲気のサムネイルが欲しい」とプロンプトを書けば、AIは何十ものバリエーションを出してくれます。でも、どのバリエーションがL-yardのブランドに合うかを判断するのは、わたしの仕事です。
実際のワークフロー
じゃあ、ボクの実際のワークフローを見せるね。
ハクアがモニターを見せる。
まず、何を作るかを決める。これは人間の仕事。次に、GitHub Copilotにコードの叩き台を書かせる。ボクはそれをレビューして、方向性を修正する。大きなリファクタリングはClaude Codeに任せる。最後のコードレビューはボクがやる。
つまり——設計、指示、判断、レビューが人間。実装とリファクタリングがAI。
そう。ボクの作業時間は半分になったけど、考える時間は増えた。前は手を動かすので精一杯だったのが、今は「この設計でいいのか」を考える余裕がある。
それは、AIが人間の仕事を「奪った」のではなく、「変えた」ということですね。
……まあ、そう言ってもいいけど。正直ちょっと複雑な気持ちだよ。コード書くのが好きだったから。
人間に残るもの
(真剣な表情で) ハクアちゃん。一つ聞いてもいいですか。
なに。
AIが出したサムネイルの中から「これがいい」と選ぶとき、わたしが使っているのは何だと思いますか?
……美的感覚?
それもあります。でも、もっと根本的なものです。「L-yardとは何か」「このセクションの読者は誰か」「この記事でどんな気持ちになってほしいか」——文脈の理解です。
文脈か。
AIはパターンを学習できますが、「なぜこのパターンがこの場面で適切か」を判断する能力は、まだ人間に圧倒的な優位があります。それは、人間が身体を持って世界を経験しているからです。
ハクアが椅子をくるりと回す。
……ボクがシムレーシングでステアリングを握る感覚とか、深夜にコーヒー飲みながらデバッグしてる体験とか。そういう「体験」がAIとの差になるってこと?
ええ。AIはコードを書けますが、「深夜のデバッグの孤独さ」は知らない。だから「疲れた開発者のための」UIを設計する判断は、人間にしかできません。
使うか使われるか
結局さ、AIツールって——
道具です。
うん。ハンマーが家を建てるんじゃなくて、大工がハンマーを使って家を建てる。
そして、良い大工はハンマーの使い方を熟知しています。AIツールも同じ。使いこなすには、ツールの特性を理解し、自分のワークフローに組み込む技術が必要です。
ボクはまだ、使いこなせてるとは言えないな。Claude Codeの出力をそのまま受け入れてることもあるし。
疑うことを忘れないでください。AIの出力を批判的に検証する能力が、これからの開発者の最も重要なスキルになるでしょう。
(パーカーのフードを被りながら) ……了解。じゃあまず、昨日のリファクタリング結果をちゃんとレビューするわ。
イロハの本棚
この記事で触れた書籍と、さらに深く知りたい人への推薦図書。
メイン書籍
『AI 2041』 カイフ・リー&チェン・チウファン(文藝春秋、2022年)
イロハの一言: 「AIの未来を10の物語で描く。技術予測と人間ドラマが共存する稀有な一冊です。」
関連書籍
- 『GitHub Copilot とのペアプログラミング』 — AIコーディングアシスタントの実践ガイド
- 『生成AIで世界はこう変わる』 今井翔太 — 生成AIのビジネス・社会への影響を体系的に解説