AIコーディングツールは、もう「使うか使わないか」の議論ではない。**「どう使うか」**の時代に入っている。
Cursor と Claude Code。二つのツールは同じ「AIコーディング支援」を名乗りながら、設計思想が根本から異なる。その差は、開発者とAIの「関係性」の差だ。
対話パート1: 「CLI以外ありえない」
L-yard 編集室。ハクアがターミナルで作業している
……ねえ、最近Cursorに乗り換えた人多いけどさ。ボクはClaude Code一択だと思うんだよね。
……どうしてですか?
だってCLIだよ? ターミナルから全部完結する。ファイル読み書き、gitコマンド、テスト実行、CI/CD統合——全部一箇所で。IDEなんて要らない。
Cursorを使ったことは?
……ちょっとだけ。
ちょっとだけ。
いや、だって、VSCodeのフォークでしょ? エディタの中にAIを閉じ込めてるだけじゃん。Claude Codeはファイルシステム全体にアクセスできて、シェルコマンドも実行できて、自律的にタスクを遂行できる。自由度が違う。
自律性ではClaude Codeが優れている点、同意します。でも「自由度が高い」ことと「すべてのユースケースで優れている」ことは別ですわ。
……どういうこと?
対話パート2: 「一緒に書く」と「タスクを依頼する」
CursorとClaude Codeの違いを一言で表すなら、こう。
| Cursor | Claude Code | |
|---|---|---|
| 操作感 | 一緒にコードを書く | タスクを依頼する |
| 介入頻度 | 高(常にフィードバック) | 低(結果を待つ) |
| 対話の粒度 | 1行単位 | 機能単位 |
「一緒に書く」か。でもそれってタブ補完のことでしょ?
タブ補完は表面的な機能名にすぎません。本質は「考えながら書く体験」をAIがリアルタイムに支援すること。
……それってGitHub Copilotと同じじゃないの?
Copilotの延長線上ではありますが、Cursorの補完は速度と精度が段違いです。Supermaven搭載で体感遅延がほぼない。複数行予測もある。書きかけのコードの「次の数行」を、文脈を踏まえて提示してくる。
……Claude Codeにはタブ補完がない。
ありません。設計思想が違うからです。Claude Codeは「1行ずつ一緒に書く」ためのツールではなく、「まとまったタスクを丸ごと任せる」ためのツール。
じゃあ、探索的にコードを書くとき——何を作るかまだ固まってなくて、書きながら考えるとき——はCursorの方が向いてる?
……そういうことですわ。
……うーん。
対話パート3: コンテキストと自律性の差
でもさ、コンテキストウィンドウの差は大きいよ。Cursorは公称200Kだけど実効70K〜120K。Claude Codeは200K使い切れる。大規模リファクタリングではClaude Code一択でしょ。
その差は事実です。大規模コードベースを横断する作業——マイクロサービス間のインタフェース変更、全ファイルのリファクタリング——ではClaude Codeが圧倒的に有利。
ほら。
ただ、日常の開発作業の何割が「大規模リファクタリング」ですか?
……。
多くの開発者の日常は、1〜3ファイルの変更。関数の追加、バグ修正、テスト作成。この規模では70Kのコンテキストでも十分足りる。
……確かに。
自律性も同じ構造です。Claude Codeの自律性は素晴らしい——ファイル操作、コマンド実行、サブエージェント並列処理。でも「小さな変更を連続して素早く行う」場面では、毎回タスクを言語化して依頼するオーバーヘッドが発生する。
……「関数名をリネームして、テスト走らせて、コミットして」ってClaude Codeに頼むのと、Cursorでインライン編集して保存するのとでは——
後者の方が速い場面がある、ということです。
対話パート4: 「併用」という成熟した選択
……じゃあどっちを使えばいいんだよ。
両方。
……えっ。
多くのプロ開発者が行き着く結論は「併用」です。
| 場面 | 適したツール |
|---|---|
| 日中のアクティブコーディング | Cursor |
| 小さな変更の連続 | Cursor |
| 大規模リファクタリング | Claude Code |
| ドキュメント生成 | Claude Code |
| PR作成・レビュー | Claude Code |
| CI/CD統合、バッチ処理 | Claude Code |
月額がかさむ。
Cursor Pro $20 + Claude Pro $17 で月額 $37。開発者の生産性向上を考えれば、高い投資ではないはずです。
……まあ、それはそう。でもさ、ボクは「一つのツールで完結したい」派なんだよね。
気持ちは分かります。でもそれは「ドライバー1本で全てのネジを回したい」と言っているのと同じ。プラスとマイナスでは工具が違う。
……なんか、反論できない例えを持ってくるなあ。
対話パート5: 「誰のためのコード補完か」
結局、CursorとClaude Codeの差って、機能の優劣じゃなくて——
設計思想の違い。
うん。Cursorは「コードを書く行為そのもの」をAIが支援する。Claude Codeは「コードで何かを達成すること」をAIが代行する。
……とても正確な整理ですわね。
タブ補完って、結局「考えながら書く人」のためのものだよね。思考とタイピングが一体化している瞬間に、AIが「次の一行」を提示する。それは「代わりに書いてもらう」のとは違う体験。
一方で、Claude Codeの自律性は「考え終わった人」のためのもの。「何を作るか」が明確になったら、実装は任せる。
「考えている最中」と「考え終わった後」で、必要なAIの形が違う。
そういうこと。だから「どちらが優れているか」ではなく、「今、自分はどのフェーズにいるか」で選ぶ。
……最初に「Claude Code一択」って言ったの、撤回していい?
(微笑んで) もちろん。
選択フローチャート
| 質問 | 回答 | 推奨 |
|---|---|---|
| タブ補完は必須? | はい → | Cursor |
| 大規模コードベース(10万行+)? | はい → | Claude Code |
| CI/CD統合が必要? | はい → | Claude Code |
| 探索的にコードを書く時間が多い? | はい → | Cursor |
| 明確なタスクを自動化したい? | はい → | Claude Code |
| 予算に余裕がある? | はい → | 両方 |
まとめ: 道具は思想を反映する
AIエディタの選択は、「どのAIが賢いか」ではなく、「自分がコードとどう向き合いたいか」で決まるんだな。
道具は使う人の思想を反映します。「一緒に書きたい」と思う人にはCursor。「任せたい」と思う人にはClaude Code。どちらも正しい。
そして、両方の瞬間がある人には——
両方を使い分ければいい。道具に忠誠を誓う必要はありません。
……ボク、ちょっとCursorも真面目に試してみるわ。
ふふ。
AIコーディングツールの進化は速い。だが、どれだけ機能が増えても、問われるのは同じ問い。
「あなたは、コードと一緒に考えたいのか。それとも、考えた結果を形にしてほしいのか」。
その答えが、最適なツールを教えてくれる。