AIエディタの思想 — 誰のためのコード補完か
ハクア
イロハ
dev-tools 対話形式

AIエディタの思想 — 誰のためのコード補完か

Cursorは「一緒に書く」、Claude Codeは「タスクを依頼する」。タブ補完の有無という表面的な差の奥にある設計思想の違いを、ハクアとイロハが反発しながら理解していく対話篇。AIコーディングツール選択の本質を問う。

AIエディタCursorClaude Code開発ツールコード補完

AIコーディングツールは、もう「使うか使わないか」の議論ではない。**「どう使うか」**の時代に入っている。

Cursor と Claude Code。二つのツールは同じ「AIコーディング支援」を名乗りながら、設計思想が根本から異なる。その差は、開発者とAIの「関係性」の差だ。


対話パート1: 「CLI以外ありえない」

L-yard 編集室。ハクアがターミナルで作業している

ハクア
ハクア

……ねえ、最近Cursorに乗り換えた人多いけどさ。ボクはClaude Code一択だと思うんだよね。

イロハ
イロハ

……どうしてですか?

ハクア
ハクア

だってCLIだよ? ターミナルから全部完結する。ファイル読み書き、gitコマンド、テスト実行、CI/CD統合——全部一箇所で。IDEなんて要らない。

イロハ
イロハ

Cursorを使ったことは?

ハクア
ハクア

……ちょっとだけ。

イロハ
イロハ

ちょっとだけ。

ハクア
ハクア

いや、だって、VSCodeのフォークでしょ? エディタの中にAIを閉じ込めてるだけじゃん。Claude Codeはファイルシステム全体にアクセスできて、シェルコマンドも実行できて、自律的にタスクを遂行できる。自由度が違う。

イロハ
イロハ

自律性ではClaude Codeが優れている点、同意します。でも「自由度が高い」ことと「すべてのユースケースで優れている」ことは別ですわ。

ハクア
ハクア

……どういうこと?


対話パート2: 「一緒に書く」と「タスクを依頼する」

イロハ
イロハ

CursorとClaude Codeの違いを一言で表すなら、こう。

CursorClaude Code
操作感一緒にコードを書くタスクを依頼する
介入頻度高(常にフィードバック)低(結果を待つ)
対話の粒度1行単位機能単位
ハクア
ハクア

「一緒に書く」か。でもそれってタブ補完のことでしょ?

イロハ
イロハ

タブ補完は表面的な機能名にすぎません。本質は「考えながら書く体験」をAIがリアルタイムに支援すること。

ハクア
ハクア

……それってGitHub Copilotと同じじゃないの?

イロハ
イロハ

Copilotの延長線上ではありますが、Cursorの補完は速度と精度が段違いです。Supermaven搭載で体感遅延がほぼない。複数行予測もある。書きかけのコードの「次の数行」を、文脈を踏まえて提示してくる。

ハクア
ハクア

……Claude Codeにはタブ補完がない。

イロハ
イロハ

ありません。設計思想が違うからです。Claude Codeは「1行ずつ一緒に書く」ためのツールではなく、「まとまったタスクを丸ごと任せる」ためのツール。

ハクア
ハクア

じゃあ、探索的にコードを書くとき——何を作るかまだ固まってなくて、書きながら考えるとき——はCursorの方が向いてる?

イロハ
イロハ

……そういうことですわ。

ハクア
ハクア

……うーん。


対話パート3: コンテキストと自律性の差

ハクア
ハクア

でもさ、コンテキストウィンドウの差は大きいよ。Cursorは公称200Kだけど実効70K〜120K。Claude Codeは200K使い切れる。大規模リファクタリングではClaude Code一択でしょ。

イロハ
イロハ

その差は事実です。大規模コードベースを横断する作業——マイクロサービス間のインタフェース変更、全ファイルのリファクタリング——ではClaude Codeが圧倒的に有利。

ハクア
ハクア

ほら。

イロハ
イロハ

ただ、日常の開発作業の何割が「大規模リファクタリング」ですか?

ハクア
ハクア

……。

イロハ
イロハ

多くの開発者の日常は、1〜3ファイルの変更。関数の追加、バグ修正、テスト作成。この規模では70Kのコンテキストでも十分足りる。

ハクア
ハクア

……確かに。

イロハ
イロハ

自律性も同じ構造です。Claude Codeの自律性は素晴らしい——ファイル操作、コマンド実行、サブエージェント並列処理。でも「小さな変更を連続して素早く行う」場面では、毎回タスクを言語化して依頼するオーバーヘッドが発生する。

ハクア
ハクア

……「関数名をリネームして、テスト走らせて、コミットして」ってClaude Codeに頼むのと、Cursorでインライン編集して保存するのとでは——

イロハ
イロハ

後者の方が速い場面がある、ということです。


対話パート4: 「併用」という成熟した選択

ハクア
ハクア

……じゃあどっちを使えばいいんだよ。

イロハ
イロハ

両方。

ハクア
ハクア

……えっ。

イロハ
イロハ

多くのプロ開発者が行き着く結論は「併用」です。

場面適したツール
日中のアクティブコーディングCursor
小さな変更の連続Cursor
大規模リファクタリングClaude Code
ドキュメント生成Claude Code
PR作成・レビューClaude Code
CI/CD統合、バッチ処理Claude Code
ハクア
ハクア

月額がかさむ。

イロハ
イロハ

Cursor Pro $20 + Claude Pro $17 で月額 $37。開発者の生産性向上を考えれば、高い投資ではないはずです。

ハクア
ハクア

……まあ、それはそう。でもさ、ボクは「一つのツールで完結したい」派なんだよね。

イロハ
イロハ

気持ちは分かります。でもそれは「ドライバー1本で全てのネジを回したい」と言っているのと同じ。プラスとマイナスでは工具が違う。

ハクア
ハクア

……なんか、反論できない例えを持ってくるなあ。


対話パート5: 「誰のためのコード補完か」

ハクア
ハクア

結局、CursorとClaude Codeの差って、機能の優劣じゃなくて——

イロハ
イロハ

設計思想の違い。

ハクア
ハクア

うん。Cursorは「コードを書く行為そのもの」をAIが支援する。Claude Codeは「コードで何かを達成すること」をAIが代行する。

イロハ
イロハ

……とても正確な整理ですわね。

ハクア
ハクア

タブ補完って、結局「考えながら書く人」のためのものだよね。思考とタイピングが一体化している瞬間に、AIが「次の一行」を提示する。それは「代わりに書いてもらう」のとは違う体験。

イロハ
イロハ

一方で、Claude Codeの自律性は「考え終わった人」のためのもの。「何を作るか」が明確になったら、実装は任せる。

ハクア
ハクア

「考えている最中」と「考え終わった後」で、必要なAIの形が違う。

イロハ
イロハ

そういうこと。だから「どちらが優れているか」ではなく、「今、自分はどのフェーズにいるか」で選ぶ。

ハクア
ハクア

……最初に「Claude Code一択」って言ったの、撤回していい?

イロハ
イロハ

(微笑んで) もちろん。


選択フローチャート

質問回答推奨
タブ補完は必須?はい →Cursor
大規模コードベース(10万行+)?はい →Claude Code
CI/CD統合が必要?はい →Claude Code
探索的にコードを書く時間が多い?はい →Cursor
明確なタスクを自動化したい?はい →Claude Code
予算に余裕がある?はい →両方

まとめ: 道具は思想を反映する

ハクア
ハクア

AIエディタの選択は、「どのAIが賢いか」ではなく、「自分がコードとどう向き合いたいか」で決まるんだな。

イロハ
イロハ

道具は使う人の思想を反映します。「一緒に書きたい」と思う人にはCursor。「任せたい」と思う人にはClaude Code。どちらも正しい。

ハクア
ハクア

そして、両方の瞬間がある人には——

イロハ
イロハ

両方を使い分ければいい。道具に忠誠を誓う必要はありません。

ハクア
ハクア

……ボク、ちょっとCursorも真面目に試してみるわ。

イロハ
イロハ

ふふ。


AIコーディングツールの進化は速い。だが、どれだけ機能が増えても、問われるのは同じ問い。

「あなたは、コードと一緒に考えたいのか。それとも、考えた結果を形にしてほしいのか」。

その答えが、最適なツールを教えてくれる。


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